不安定化合物の合成に関する考え方
どんもー
ねむいです
ただいま午前4:45
真空下基質乾燥中でございます
本日土曜は午前中セミナーで昼過ぎにはソウルに旅立つので
未明から仕込み始めてます
ちょいと時間ができたので昨年の国際学会の頃から考えていたことをちょいと書き残しておこうかなと
その国際学会は日本で行われたもので、その分野の大御所から若手の先生方まで様々な方が参加しておりました。
その中で気になったのは不安定化合物を合成、単離する際の考え方。
多重結合を有する典型元素化合物を合成する際によく用いられる考え方ですが、速度論的安定化。
これは不安定な原子周りを立体的に嵩高い置換基で覆うことで多量化や他の化合物との反応を防ぎ、単離する方法です。
つまりは反応への活性化エネルギーを上げ、山を越えられないようにするわけですね。
一方で、熱力学的安定化を用いたものもあります。
これはその化合物の不安定性が原子間の大きな分極によるものである場合、正電荷を持つ原子にルイス塩基を配位させることで電荷的不安定性を取り除くという方法です。
逆に負電荷を持つ原子にルイス酸を配位させてもいいです。
エネルギー的に考えるとその化合物を安定化させ、エネルギーを下げることで活性化エネルギーの山を越えられなくするといったところでしょうか。
国際学会に参加していた時、大御所の先生方の発表には速度論的安定化をもちいた化合物例が多く出てきており、反対に若手の先生方の発表には熱力学的安定化をもちいた化合物が多く出てきているという印象を受けました。
あくまで個人の印象ですけどね。
そこで速度論的安定化から熱力学的安定化に研究の軸が移ってきているのかなーと感じまして、ではこの次にはなにが来るのかなと考えました。
さてなにが来るのか。
繰り返しになりますが速度論的安定化は活性化エネルギーを上げ、熱力学的安定化ではエネルギーを下げています。
では逆に不安定化合物が反応してしまうとより不安定な化合物になる系を作れば目的化合物を安定に単離できるのではないかと考えました。
つまりは反応(decomp.)した方が不安定ですよーってな状況を作るわけです。
不安定な部分をそのままに、反応してしまったらより不安定になる状況。
んーなんだろなー
ときどき考えてはいたんですがなかなか思いつきませんでした。
そんなとき藤田誠先生の論文読んでました。
藤田先生の研究については、先輩が雑誌会で発表したり藤田先生の講演聞いたりケムステでいろいろ読んだりとこれまで触れる機会が多く、おもしろいなーと常々思っていました。
と。
よく考えてみたらあのかご状分子にモノ入れたら他の分子との相互作用しにくくなるんじゃん?
と思いつきました。
この点では速度論的安定化と同じですが。
最近の報告で、たんぱく質とか油状試料でさえもかごの中に閉じ込めることで観察が可能であり、X線構造解析まで可能ってのが出てました。
これはつまりはかごを用いてその化合物が"変化"すると不安定になる状況を作り出しているのではないか?
と思い当りました。
変化といっても動いたりパッキングが崩れたりってことですけどね。
つまりこれが速度論的安定化、熱力学的安定化につづく第三の化合物単離法といっていいのではないか?
と一人で興奮してました。
こんなところで答えを拾うとは。
とゆーことで。
第三の単離法の考え方が見つかったとゆーことで
第四は何がくるでしょーか。
活性化エネルギー上げて。
化合物のエネルギー下げて。
生成物のエネルギー上げて。
エネルギー的に考えたら終わりですかねぇ。
また違うグラフ持ちだして考えてみるしかないですかね。
そんな朝方のつぶやき。
長いですが。
おっと基質乾燥終わった。
ではでは。